従業員の副業・兼業について判断するとき、まずは「何を確認し、次に何をすべきか」を整理することが重要です。本記事では、就業規則や労働時間管理、情報漏えい対策など企業が実務で使える手順とチェックリストを示します。自社の実情に合わせて進めてください。
副業・兼業とは(簡単な定義と適用の考え方)
副業・兼業は、従業員が本業(主たる雇用)以外に行う有償の仕事を指します。制度上で副業と兼業に明確な区別はありませんが、企業としては労働時間の合算や業務の利害関係、機密保持の観点で対応を分けて考えると実務が進めやすくなります。法的な特別手続きはないものの、対応は企業ごとに変わります。
企業がまず確認する3つのポイント
1. 就業規則・雇用契約の規定
就業規則(従業員に適用される勤務ルールを記載した文書)や雇用契約書を確認します。兼業禁止規定の有無、兼業を認める場合の届出や承認ルールが明記されているかを見てください。就業規則がない、または内容が古い場合は規程の整備が必要です。
2. 労働時間・健康管理
副業を含めた労働時間の管理が重要です。所定労働時間や時間外労働の把握、過重労働の防止が必要になります。勤怠データやタイムカードで以下を確認してください。
- 所定労働時間と実労働時間の集計方法
- 時間外・休日労働の記録の有無
- 長時間労働者の健康確認の運用
また、36協定(さぶろくきょうてい:法定労働時間を超えて労働させる場合に労使で結ぶ協定)との整合性にも留意してください。
3. 情報管理・業務上の利益相反
機密情報や取引先情報の漏えい、競業避止の必要性を確認します。例えば、副業先が競合業者で機密に触れる可能性がある場合は制限が必要です。安全配慮義務(従業員の健康と安全を守る会社の責任)との兼ね合いも考慮します。
社内ルールを整えるための実務手順(具体的な進め方)
現状把握
- 確認書類:就業規則、雇用契約書、勤怠記録、職務記述書(業務内容説明)
- 運用の実態:既に副業を行っている従業員の有無と状況
方針決定
運用パターンの例と注意点:
- 全面禁止:明確だが人材確保や働き方の多様性に影響する可能性あり
- 原則容認(届出制):事前届出で労働時間や業務内容を確認しやすい
- 限定的許可:業種や時間帯、兼業先の内容で条件付ける方法
ルール化のポイント
兼業届の運用例(項目例):
- 兼業先の名称・業務内容
- 兼業での労働時間(目安)・勤務曜日
- 兼業が業務に支障を来さない旨の誓約
- 承認者と承認期限
違反時の対応(注意、指導、最終的な制裁)や報告義務を就業規則に反映させておくと運用が安定します。
周知と運用
従業員への周知は書面・社内連絡で行い、説明会やQ&Aで疑問点を解消します。運用開始後は勤怠データや健康面のチェックを定期的に行ってください。
具体的に準備する資料・チェックリスト
- 就業規則の現行版(兼業規定の有無を確認)
- 雇用契約書のコピー
- 直近数か月の勤怠記録(タイムカード/勤怠システム)
- 職務内容説明書(職務範囲の明確化)
- 兼業届フォーマット(上記項目を含む)
- 情報管理ルール(機密・競業に関する規程)
- 安全配慮・健康管理の運用記録
相談が必要な場面と、相談時に準備しておく情報
相談を検討すべきケース例:
- 副業を含めた合算で法定労働時間を超える可能性がある場合
- 兼業先が競合や取引先で情報漏えいが懸念される場合
- 兼業中の事故で労災(労働災害)扱いになるか不明な場合
相談時に整理しておくと伝わりやすい情報:
- 従業員数と対象となる従業員の雇用形態(正社員・パート等)
- 就業規則の有無と雇用契約の状況
- 現在の勤怠管理方法(システム名や集計方法)
- 具体的な運用イメージや懸念点
個人番号や病歴などの機微情報は、初回相談で送らないでください。
まとめ
優先順位は、(1)就業規則・契約の確認、(2)労働時間と健康管理の整備、(3)情報管理と利益相反の検討です。まずは上記チェックリストで現状を把握し、方針(禁止・届出制など)を決めたうえで規程化・周知を進めてください。状況により判断が変わる点は多いため、分かる範囲で相談いただくのがおすすめです。
きんつぎ社会保険労務士法人では、就業規則の改定支援、兼業届や社内規程の作成、労働時間管理の見直しなどのサポートが可能です。相談時に用意いただくとスムーズな情報:従業員数/雇用形態/就業規則の有無/現在の運用。まずは概要をお伝えいただければ、詳しい資料の提示方法をご案内します。
ご相談・お問い合わせはこちらから:お問い合わせフォーム 当法人の対応業務のご案内:業務内容ページ
メール相談
メール相談